QA 【居住用小規模宅地特例】相続開始3年以内に元夫所有の家に住んでいた場合

Question

令和5年4月1日に母が亡くなりました。父は既に他界しており、相続人は娘の私ひとりです。

私は5年前に結婚し、令和4年12月に離婚しました。

結婚後、元夫名義のマンションに住んでいましたが、離婚後は賃貸マンションでひとり暮らしをしています。

母が亡くなるまで住んでいた実家を相続する場合、3年以内に配偶者所有の家屋に住んでいたことになりますが、相続する土地について居住用小規模宅地特例(330㎡まで80%評価減)を適用することができますか?

Answer

あなたは、被相続人の配偶者ではなく、同居親族でもないため、いわゆる「家なき子」に該当する場合には、居住用小規模宅地特例を適用することができます。

【家なき子に該当するための要件】

(1) 居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと。
(2) 被相続人に配偶者がいないこと。
(3) 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと。
(4) 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと。
(5) 相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと。
(6) その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること。

ご懸念されている上記(4)の要件については、母の相続開始直前において、元夫との婚姻関係は解消されているため、相続開始前3年以内に日本国内に配偶者の所有に係る家屋に居住したことがない者に該当しますので、他の要件を充足している限りにおいてはいわゆる「家なき子」に該当し、居住用小規模宅地特例を適用することができます。

措置法第69条の4第3項第2号ロ(1)に規定する「当該親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と特別の関係がある法人」とは、相続の開始の直前において同号に規定する親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と特別の関係がある法人である者をいうものとする。

租税特別措置法関係通達(「当該親族の配偶者」等の意義)69の4-22

この記事を書いた人

押渡部 優子