株価算定の留意点~評価会社が複数の事業を兼業している場合~

非上場会社の株価算定方法のひとつに類似業種比準方式がありますが、これは評価会社の配当・利益・純資産を事業の種類が同一又は類似する複数の上場会社(=類似業種)の株価の平均値に比準させて評価する方式であるため、類似業種の選定は慎重に行う必要があります。

類似業種の選定

類似業種の業種目および業種区分は以下の手順で選定します。

  1. 評価会社が営む各事業について日本標準産業分類で該当する業種目を確認
  2. 対比表で日本産業分類の業種目に対応する類似業種比準価額計算上の業種目と「規模区分を判定する場合の業種」(=業種区分)を確認

業種目も業種区分も直前期末以前1年間における取引金額(≒売上高)に基づいて判定し、取引金額総額の50%超となる事業がある場合には、その事業に対応する業種目と業種区分で類似業種比準価額を算定しますが、取引金額総額が50%超となる事業がない場合には、業種目と業種区分で判定方法が異なるため注意が必要です。

会社規模判定における業種区分の判定

業種区分は会社規模の判定に使用しますが、「卸売業」、「小売・サービス業」又は「卸売業、小売・サービス業以外」 の3区分あり、財産評価基本通達178(4)では、取引金額のうちに2以上の業種に係る取引金額が含まれている場合には、それらの取引金額のうち最も多い取引金額に係る業種によって判定すると規定されています。

ここで言う「2以上の業種」とは、

「卸売業」、「小売・サービス業」又は「卸売業、小売・サービス業以外」 の3区分のことであるため、兼業する全ての事業に対応する区分を確認し、合計の取引金額が最も大きくなる区分が評価会社の会社規模判定における業種となります。

類似業種比準価額計算上の業種目の判定

財産評価基本通達181-2では、当該取引金額のうちに2以上の業種目に係る取引金額が含まれている場合の当該評価会社の事業が該当する業種目は、取引金額全体のうちに占める業種目別の取引金額の割合が50%を超える業種目がない場合は、次の1~5に掲げる場合に応じたそれぞれの業種目とすると規定されています。

  1. 評価会社の事業が一つの中分類の業種目中の2以上の類似する小分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合⇒その中分類の中にある類似する小分類の「その他の○○業」
  2. 評価会社の事業が一つの中分類の業種目中の2以上の類似しない小分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合(1に該当する場合を除く。)⇒その中分類の業種目
  3. 評価会社の事業が一つの大分類の業種目中の2以上の類似する中分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合⇒その大分類の中にある類似する中分類の「その他の○○業」
  4. 評価会社の事業が一つの大分類の業種目中の2以上の類似しない中分類の業種目に属し、それらの業種目別の割合の合計が50%を超える場合(3に該当する場合を除く。)⇒その大分類の業種目
  5. 1から4のいずれにも該当しない場合⇒大分類の業種目の中の「その他の産業」
ここで言う「類似する/しない」とは、

「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等(令和〇年分)」の中分類または小分類の一番下に「その他の〇〇業」があるかどうかで判断します。例えば、ある中分類中の小分類に「その他の〇〇業」がある場合、その中分類中の小分類は全て類似する業種目となります。

ただし、例外として「無店舗小売業」(中分類)は、「その他の小売業」(中分類)の下に記載されています。これは「無店舗小売業」(中分類)が「小売業」(大分類)に属する他の中分類の業種目とは類似しない業種目となるためで、「小売業」(大分類)中の他の中分類の業種目との合計が50%を超える場合は、上記4の判定により「小売業」となります。

Q
評価会社の事業が一つの大分類の業種目中の2以上の中分類と小分類の合計で50%を超える場合は?
A

5のいずれにも該当しない場合に該当し、大分類業種目中の「その他の産業」となります。

この記事を書いた人

押渡部 優子