国外からの送金納付(令和3年度税制改正)

国税の納付方法

昨今、振替納税、ダイレクト納付、ペイジー、コンビニ納付、クレジットカード納付など、急速に納税手段が多様化しています。

令和3年度税制改正でついに国外金融機関からの送金による納付が可能となりました。

財務省 国税の納付方法

国外に居住している日本の国税の納税義務者が対象で、国外の金融機関を通じて国税収納官吏の国内預金口座に送金する方法で納付することができます。

なお、国外送金は着金にタイムラグが生じるため、国外の金融機関からの送金日が納付日とみなされます。

令和4年1月4日以後に納付する国税について適用可能です。

納付手続きに関する規定

国税の納付手続きについては国税通則法第34条に規定があります。

国税通則法第34条(現行)

(納付の手続)
第三十四条 国税を納付しようとする者は、その税額に相当する金銭に納付書(納税告知書の送達を受けた場合には、納税告知書)を添えて、これを日本銀行国税の収納を行う代理店を含む。又はその国税の収納を行う税務署の職員に納付しなければならない。ただし、証券をもつてする歳入納付に関する法律(大正五年法律第十号)の定めるところにより証券で納付すること又は財務省令で定めるところによりあらかじめ税務署長に届け出た場合に財務省令で定める方法により納付すること(自動車重量税(自動車重量税法(昭和四十六年法律第八十九号)第十四条(税務署長による徴収)の規定により税務署長が徴収するものとされているものを除く。)又は登録免許税(登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)第二十九条(税務署長による徴収)の規定により税務署長が徴収するものとされているものを除く。)の納付にあつては、自動車重量税法第十条の二(電子情報処理組織による申請又は届出の場合の納付の特例)又は登録免許税法第二十四条の二(電子情報処理組織による登記等の申請等の場合の納付の特例)に規定する財務省令で定める方法により納付すること)を妨げない。
 印紙で納付すべきものとされている国税は、前項の規定にかかわらず、国税に関する法律の定めるところにより、その税額に相当する印紙をはることにより納付するものとする。印紙で納付することができるものとされている国税を印紙で納付する場合も、また同様とする。
 物納の許可があつた国税は、第一項の規定にかかわらず、国税に関する法律の定めるところにより、物納をすることができる。

実際には、日本銀行に直接納付するわけではなく、日本銀行から国庫金の受入れを委嘱されているメガバンク・地方銀行・信用金庫等で納付手続き(納付書での窓口納付や振替納税)を行います。

歳入代理店等の詳細については下記リンク先をご覧ください。

日本銀行 国庫金・国債の窓口

納税は国庫金、つまり日本国の資金の取扱いであるため、国外の金融機関は対象外です。

そのため、国外に転出された方の納税について、従来では以下の方法が採られていたかと思います。

①税理士などの納税管理人が代理で納税(納税者は納税管理人に税金相当を送金)

②日本国内に銀行口座を残して国外転出する場合には振替納税を設定

改正で追加された規定の内容

納付の手続きを規定する国税通則法第34条に第4項が追加され、手当てされました。

施行規則第1条の3第3項によれば、この場合、税務署長に納付書等の提出が必要のようです。

国税通則法第34条④(施行日:令和4年1月4日)

(納付の手続)
第三十四条 国税を納付しようとする者は、その税額に相当する金銭に納付書(納税告知書の送達を受けた場合には、納税告知書)を添えて、これを日本銀行(国税の収納を行う代理店を含む。)又はその国税の収納を行う税務署の職員に納付しなければならない。ただし、証券をもつてする歳入納付に関する法律(大正五年法律第十号)の定めるところにより証券で納付すること又は財務省令で定めるところによりあらかじめ税務署長に届け出た場合に財務省令で定める方法により納付すること(自動車重量税(自動車重量税法(昭和四十六年法律第八十九号)第十四条(税務署長による徴収)の規定により税務署長が徴収するものとされているものを除く。)又は登録免許税(登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)第二十九条(税務署長による徴収)の規定により税務署長が徴収するものとされているものを除く。)の納付にあつては、自動車重量税法第十条の二(電子情報処理組織による申請又は届出の場合の納付の特例)又は登録免許税法第二十四条の二(電子情報処理組織による登記等の申請等の場合の納付の特例)に規定する財務省令で定める方法により納付すること)を妨げない。
 印紙で納付すべきものとされている国税は、前項の規定にかかわらず、国税に関する法律の定めるところにより、その税額に相当する印紙を貼ることにより納付するものとする。印紙で納付することができるものとされている国税を印紙で納付する場合も、また同様とする。
 物納の許可があつた国税は、第一項の規定にかかわらず、国税に関する法律の定めるところにより、物納をすることができる。
 国税を納付しようとする者でこの法律の施行地外の地域に住所又は居所を有するもの(以下この項において「国外納付者」という。)は、第一項の規定にかかわらず、財務省令で定めるところにより、金融機関の営業所、事務所その他これらに類するもの(この法律の施行地外の地域にあるものに限る。以下この項において「国外営業所等」という。)を通じてその税額に相当する金銭をその国税の収納を行う税務署の職員の預金口座(国税の納付を受けるために開設されたものに限る。)に対して払込みをすることにより納付することができる。この場合において、その国税の納付は、当該国外納付者が当該金融機関の国外営業所等を通じて送金した日においてされたものとみなして、延納、物納及び附帯税に関する規定を適用する。

国税通則法施行規則第1条の3③(施行日:令和4年1月4日)

(納付に係る届出等)
第一条の三 法第三十四条第一項ただし書(納付の手続)に規定する財務省令で定めるところによりあらかじめ税務署長に届け出た場合は、次の各号のいずれかに該当する場合とする。 法第三十四条の二第一項(口座振替納付に係る通知等)に規定する納税者が、同項に規定する通知の依頼をするものとして税務署長に届け出た場合
 電子情報処理組織を使用して国税(法第二条第一号(定義)に規定する国税をいう。以下同じ。)を納付しようとする者が、国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令(平成十五年財務省令第七十一号)第四条第一項(事前届出等)の規定により税務署長に届け出た場合又は同令第八条第一項(電子情報処理組織による国税の納付手続)に規定する事項の入力をするものとして税務署長に届け出た場合
 法第三十四条第一項ただし書に規定する財務省令で定める方法は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める方法とする。
 前項第一号の届出があつた場合 法第三十四条の二第一項に規定する金融機関が、次条第一号の規定による送付がされた同号に規定する記録媒体(同条第二号の規定による送信がされた同号に規定する電磁的記録を含む。)を添えて国税を納付する方法
 前項第二号の届出があつた場合 同号に規定する者が、国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第八条第一項の規定により国税を納付する方法
 法第三十四条第四項に規定する国外納付者は、同項の規定により国税を納付する場合には、国税局長又は税務署長に対し、納付書(同条第一項に規定する納付書をいう。次条第一号及び第二条第二項(納付委託の対象)において同じ。)及び金融機関の法第三十四条第四項に規定する国外営業所等を通じて送金したことを証する書類(以下この項において「納付書等」という。)の提出(当該納付書等の提出に代えて行う電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法による当該納付書等に記載すべき事項の提供を含む。)をしなければならない。

この記事を書いた人

押渡部 優子