住民税の申告　上場株式等の配当所得について所得税とは異なる課税方式の選択

日本橋に事務所を移転してから早１年。ホームページのリニューアルに合わせて、ブログもこちらで再開させていただくことになりました。

もう少しすると住民税の納税通知書が届く時期になります。住民税は賦課課税方式（自治体が所得税の確定申告や源泉徴収票を基に税額を計算通知）のため、あまり気にされていない方が多いと思いますが、住民税の申告が必要なケースもあります。

例えば、上場株式等の配当・譲渡所得については、所得税と住民税で違う課税方式を選択することができます。

事例紹介

解説

上場株式等の配当は口座の種類にかかわらず源泉徴収（所得税15.315%＋住民税5%）されているため、源泉徴収のみで課税を完結することができ、基本的に申告不要ですが、課税所得900万円以下の方は申告により総合課税を選択し配当控除の適用を受けることで源泉徴収された所得税について一部還付を受けることができます。

課税所得900万円以下の場合、所得税率の上限は23％のため、源泉徴収の所得税率15.315%より高いです。しかし、上場株式等が日本株の場合に総合課税を選択すると配当の10％相当の配当控除が受けられますので結果として源泉徴収の所得税率15.315%を下回ります。

所得税の計算で総合課税を選択した場合、住民税の計算も自動的に総合課税となります。住民税は所得にかかわらず一律10％のため、源泉徴収の住民税率5%よりも高くなります。なお、所得税と同様に日本株の場合には配当の2.8%相当の配当控除が受けられます。

イメージ試算

パターン１　申告しない

①＋②＝20.315万円

パターン２　所得税の確定申告（総合課税）

①＋②＝20.2万円

💬申告することで所得税は減少しましたが、住民税が増加したため、結果として申告のメリットがあまり得られていません。

パターン３　所得税の確定申告（総合課税）＋住民税で申告不要の選択

①＋②＝18万円

💬いいところどりができました。

本事例のような給与所得のみをベースに算定される厚生年金に加入している給与所得者には関係ありませんが、住民税の課税所得をベースに算定される国民健康保険に加入している自営業者等は、申告不要を選択することで、配当所得を翌年の健康保険料の計算対象から外すことができます。

申告方法と申告期限

手続きについては、住所地の自治体のホームページから確認できます。

中央区

https://www.city.chuo.lg.jp/kurasi/zeikin/zyuminzei/_user_zeimu_time_20200130.html

所得税とは異なる課税方式を選択する場合の住民税の申告期限は納税通知がお手元に届く日より前です。

中央区の送達時期は、特別徴収の方（給与所得者）は5月末まで、普通徴収の方は6月上旬とのことです。

所得税の申告期限のように日にちで決められている訳ではないので、余裕をもって準備されることをお勧めいたします。

給与所得者の方はギリギリの時期ですので、今から申告される場合には事前に自治体に確認された方がよいと思います。

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